NPOあつぎみらい21の「かながわ Business Network」 2025年9月号 Vol.177
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NPOあつぎみらい21の「かながわBusiness Network」
2025年9月号 Vol.177
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こんにちは、NPOあつぎみらい21「かながわ Business Network」
編集部です。
「終わりのない猛暑」と感じておりましたが、やはりお彼岸ともなると秋の気配
が虫の音とともにやってきております。地軸が傾いている以上、季節は変わるの
ですね。
さて、今月の内容です。
1.<経営講座> ■【食中毒にご注意を!!】
2.<活動報告> ■【製造現場リーダー育成プログラム 開始報告】
3.<経営情報> ■【各種セミナー情報】
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1.<経営講座> ■【食中毒にご注意を!!】
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▼食品衛生法における食中毒の定義
食中毒とは、「食品、添加物、器具または容器包装に含まれた、または付着した微
生物、化学物質、自然毒等を摂取することによって起きる衛生上の危害」であり、
健康障害のことです。
▼食中毒発生状況
厚生労働省の資料によりますと
令和4年から令和6年の3年間の月ごとの発生件数を比較すると、令和4年の年間患
者数は6,856名、令和5年は11,803名、R6年は14,229名と増加しています。な
お、平成20年以前では30,000名を超えた年もあります。
3年間の患者数の傾向では1月が最も高く、2月、3月、4月と徐々に下がり、5月、6
月、7月は低くなり、8月が増加、9月、10月、11月がまた低くなり、12月が増加と
なる傾向です。
ちなみに、令和6年における神奈川県内での発生件数は84件、患者数は951名とな
っています。
また、令和6年の病因物質別患者数の月別発生状況では1月から3月まではウイルスが
原因となる患者数が多いですが、その後は細菌性の患者数が増えてきて、12月には
ウイルスによる患者がまた増えるという傾向になっています。
▼食中毒の主な原因と種類
・ウイルス性食中毒では代表的なものではノロウイルスがあり、牡蠣や人の手を介
して感染し、感染力が非常に強いウイルスです。
・細菌性食中毒とは代表的なものとして
・サルモネラ菌:鶏卵・鶏肉・未加熱の食品
・カンピロバクター:鶏肉の過熱不足や井戸水から感染
・黄色ブドウ球菌:手指の傷口や不衛生な調理
・ウエルシュ菌:カレーなど煮込み料理の保存不良
その他、フグの毒やキノコ、残留農薬、寄生虫によるものとして生魚の刺身から感
染するアニサキスが挙げられます。
また、これからの季節は自然毒として、キノコや山菜に気を付ける時期となります。
▼食中毒予防の基本
食中毒菌は次の3つの要素がそろって良く発育します。
・ 温度:おおむね10℃から60℃の間で増え、35℃前後が良く増える条件となりま
す。なお、0℃以下でも菌は死んでおらず、仮眠しているだけのため、温度が上
がると活動を再開します。
・ 水分:適量の水分が必要ですが、水分のない食品はありません。
・ 栄養:食品は栄養の宝庫です。
3つの要素の中で温度が最もコントロールしやすいので、冷蔵庫・冷凍庫、加熱温度
など温度管理がとても重要となります。
細菌性食中毒を予防するためには、「細菌をつけない(清潔、洗浄)」・「細菌を
増やさない(迅速・冷却)」・「細菌をやっつける(加熱、殺菌)」の三原則があ
ります。
・ 細菌をつけない(清潔・洗浄):
食中毒を起こす細菌は、魚や肉、野菜などの食材についていることがあります。こ
の食中毒菌が手指や調理器具などを介して他の食品を汚染し、食中毒の原因となり
ます。手指や器具類の洗浄・消毒や、食品を区分け保管したり、調理器具を用途別
に使い分けたりすることなどが必要となります。
・ 細菌を増やさない(迅速・冷却):
食品に食中毒菌がついてしまっても、食中毒をおこすまでの菌量に増えなければ、
食中毒にはなりません。食品についた菌は、時間の経過とともに増えるので、調理
はすばやく行い、調理後は早く食べることが大切です。また、細菌は通常、10℃以下
では増えにくくなるので、食品を扱うときには室温に長時間放置せず、冷蔵庫に保管
する必要があります。
・ 細菌をやっつける(加熱・殺菌):
一般的に、食中毒を起こす細菌は熱に弱く、食品に細菌がついていても加熱す
れば死んでしまいます。加熱はもっとも効果的な殺菌方法ですが、加熱が不十
分で食中毒菌が生き残り、食中毒が発生する例が多いので、注意が必要です。
また、調理器具は洗浄した後、熱湯や塩素剤などで消毒することが大切です。
なお、ウイルス、寄生虫や毒キノコ等の食中毒には、個別の注意が必要です。
▼豆知識
・サバ・アジ・イワシ・マグロなど:刺身に注意。回虫の仲間のアニサキス。幼虫
は直径1.4㎜、長さ10~40㎜で肉眼で見える。
高温に弱く、60℃で数秒間または-20℃で24時間凍結で死滅する。
・二枚貝(シジミ、アサリなど):海に流れ込んだノロウイルスにより感染。85℃で1
分以上で不活性化する。
・アジサイの葉:葉に青酸配糖体が含まれているという説あり。(未確認)
・ジャガイモ(特にメークイン):未成熟なものや芽、緑化した皮の部分に毒性の物
質が含まれる。除去するとよい。
・生野菜と肉の調理器具の共用:O157感染。比較的熱に弱いため、75℃、1分以上
で死滅。対策は手洗い、使い分け、消毒など。
・鶏肉:スーパーの鶏肉の60%、牛肉の1~2%、牛レバーの10%以上がカンピロバ
クターに汚染。100個の菌がヒトの体内に入ると食中毒になる。加熱ムラがなく
中心温度75℃で1分程度が必要(ミディアムは不可)。
※カンピロバクターは微好気性のため、空気中にさらされると死滅する
・低塩のイカの塩辛:イカの塩辛の塩分濃度は4%前後。腸炎ビブリオは好塩性
(3%程度の海水塩分濃度を好む)の食中毒菌。真水や60℃以上の過熱で死滅。伝統
的なイカの塩辛は塩分濃度10%以上。
・前日調理のカレー:ウエルシュ菌は加熱調理でも生き残る。嫌気性菌のため、酸
素の無い環境を好む。煮込んだカレーは嫌気状態。カレーの温度が下がる(45℃
が最適温度)と増殖が加速する。
翌日用のカレーは小さな容器で20℃以下に急速冷凍。保管の際はよくかき混ぜた
り、表面積を広くし嫌気状態を緩和する。提供前に中心温度を85℃以上にして十
分に再加熱する。
夏が終わり、短い秋がやってきました。
今年のサンマは大振りで太っているようですが、このタイミングを外すと細身のサ
ンマに戻ってしまうそうです。
また、暑さが戻ってくるそうですが、食中毒には気を付けて、もう少しの夏を乗り
切りましよう。
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Writer:越地 文夫 三和C&C (中小企業診断士)
「ものづくり企業様の“元気づくり”をお手伝い」
E-mail: kosijif@ybb.ne.jp
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2.<活動報告> ■【製造現場リーダー育成プログラム 開始報告】
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🔳 製造現場リーダー育成プログラムスタートのお知らせ
かねてよりご案内していた「製造現場リーダー育成プログラム」が、予定通り 9月
10日よりスタートしました。本プログラムは、製造現場のリーダーやリーダー候補
を対象に、「自ら考え、行動し、現場改善を進める人材を育成し、現場力を強化す
ること」 を目的としています。
研修では、リーダーとしての役割や、「見えていないムダの可視化・改善手法」を基
礎から学びます。さらに、リモート研修と演習を組み合わせ、ITやAIの活用力も身
につけられる、実践型プログラムです。
1. 開催概要
参加者 3社6名
形式 リモート開催(講義+個人・グループ演習)
プログラム 前半:講義・演習
後半:各自の現場テーマに基づく改善活動→最終発表会
・ネット環境や操作スキルの不安もありましたが、大きな問題はなくスタート。
・演習ではパワーポイントやエクセルを使用。初心者も半数おり、研修を通じて IT
リテラシーの底上げ を図っています。
・改善活動の場面では AIツールの活用 にもチャレンジ! 実際の画面操作を通じ
て業務への活かし方を学んでいます。
2. 第1回研修テーマ:「問題を表現する」
第1回はオリエンテーションと合わせて、「問題を表現する方法」を学びました。
🔳 問題と課題の違い
・ 問題 :あるべき姿と現状との差(状態)
・ 課題 :あるべき姿に近づける行動(アクション)
・ 結果のズレ(バラツキ)は、「仕事のやり方のズレ(バラツキ)」が原因
・ 改善とは、「仕事のやり方をより良くすること」
リーダーは問題の本質を捉える前に解決策を示してしまいがちで、その結果、思い込
みによる誤りが繰り返されやすい。まずは問題を正しく表現することが重要。
🔳 問題の表現方法
・ 形式: 対象(特性値)+あるべき姿+差異
例:製造原価が目標2,000円であるべきところ、現状2,100円であり100円高い。
例:良品率が目標 100%であるべきところ、現状 90%であり10%低い。
例:良品率が100%であるべきところ、95%になりつつある。
🔳 気づきの重要性
・問題を正しく認識する過程で得られる「気づき」は改善の糸口。
・気づきを重ねることで問題の本質に迫り、真の改善、新しいアイデア創出につな
がる。
3. 受講生の声(一部抜粋)
・ 「現場で直面している内容そのもので、理解しやすかった」
・ 「ブレーンストーミングが苦手だが、挑戦していきたい」
・ 「知らない知識が多く、学び直しの機会になった」
・ 「流れがゆっくりで資料も事前に配布され、分かりやすかった」
共通し、「現場に直結していて役立つ・分かりやすい」という声をいただきました。
本研修は毎回受講生からアンケート頂き、研修の進め方を改善していきます。
4. 今後の研修予定
次回以降は、改善の進め方について以下の内容を学びます。
・ 標準化、SDCA/PDCA、
・ なぜなぜ分析(事実をベースにムダ・ロスを可視化)
・ 改善の進め方
・ 各企業の個別テーマに基づく改善活動
・ 成果を共有・確認する最終発表会
本研修は、講義と演習・討議を組合せ、リモートながらも「体験し・実感できる」
スタイルで進めています。
リーダーとしての役割や改善手法の習得に加え、IT・AI活用を取り入れることで現
場改善を効率的かつ実践的に進める力を養います。
今後も参加者の声を反映しながら、より現場で役立つ内容に磨きをかけていきます。
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Writer:鈴木巧
TAKUMI安全品質ラボ代表/あつぎみらい21所属
リーダー、職長・安全衛生責任者トレーナー
キャッチコピー 見えていないムダ・ロスを可視化し、改善する!
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3.<経営情報> ■【各種セミナー情報】
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▼ その他のセミナー・講演情報
厚木商工会議所 セミナー/イベントのお知らせ
http://www.atsugicci.or.jp/category/seminar/
相模原市産業振興財団 セミナー/イベントのお知らせ
http://www.ssz.or.jp/event
川崎市産業振興財団 セミナー/イベントのお知らせ
http://www.kawasaki-net.ne.jp/seminar.html
横浜商工会議所 セミナー・講習会のご案内
http://www.yokohama-cci.or.jp/event/
川崎商工会議所 セミナー・講演会スケジュール
http://www.kawasaki-cci.or.jp/event/index.html
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■ 編集後記
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残念ながら私には選挙権はないのですが、始まったようですね。しかし、
「どの顔見ても・・・」と思ってしまうのはなぜなんでしょう。初の女性
か、若手かと、海外メディアでは言われているそうですが、私にはいずれ
も、挑戦と変化への期待感が感じられません。所詮自民党には変化や挑戦
は無理なのでしょうか。と言っても、知性の感じられないあの政党と言う
わけにもいきません。
では、次回のメルマガもお楽しみに。
本メルマガは、GoogleGroupで発行しております。GoogleGroupは本来
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メンバも当然非公開としています。ご安心ください。
発行者:特定非営利活動法人 NPOあつぎみらい21
編集長:脇本 清明(NPOあつぎみらい21事務局長)
Website: http://www.atsugimirai21.org/
E-mail: mailmag@atsugimirai21.org
編集担当:橋向 博昭
E-mail: hiro@at-bridge.com
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