NPOあつぎみらい21の「かながわ Business Network」 2025年11月号 Vol.179

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  NPOあつぎみらい21の「かながわBusiness Network」 
                2025年11月号 Vol.179
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こんにちは、NPOあつぎみらい21「かながわ Business Network」
編集部です。 
 
紅葉が山を駆け下り、平地も次第に秋色に染まってきました。紅葉狩りの季節ですね。
「紅葉を愛でながら、燗酒をちびり」という季節です。
 
さて、今月の内容です。
1.<経営講座> ■【現場リーダーが身につけたい「見えない2つの力(スキル)」】
2.<活動報告> ■【オンラインセミナー&お話会】
3.<経営情報> ■【各種セミナー情報】
 
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1.<経営講座> ■【現場リーダーが身につけたい「見えない2つの力(スキル)」】
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1. 現場リーダーに求められる基本スキル
 
現場リーダーに必要なスキルとして、よく挙げられるのは次の3つです。
 1. 業績を達成するスキル
   ・SEQCDの課題を達成する力
 2. 緊急時・突発事象への対応スキル
   ・問題解決力・トラブル対応力
 3. 職場をイキイキさせるスキル
   ・チームマネジメント・モチベーション向上力
 
いずれも重要な基礎力ですが、今の現場環境ではこれだけでは十分ではありま
せん。
 
2. 現場環境の変化と新たな問題
 
近年、ITやAIの活用が急速に進み、リーダーやメンバーに求められるスキルは
高度化しています。
しかし次の問題があります。
 • 技術・システムを完全に理解して使いこなせる人が少ない
 • システムそのものが未熟な場合がある
 その結果、現場では次のような状況が増えています:
 • 予測できない事象に遭遇する
 • 微妙な変化に気づく必要がある
こうした状況では、従来のスキルに加えて次の力が重要です:
 • 現場で起きる小さな変化に気づく力
 • メンバーが違和感を共有できる「まじめな雑談力」
が、以前にも増して重要になっています。
 
3.求められる “見えない2つの力”
 
このような背景の中で、従来の3つのスキルを支える
“見えにくい基礎力” が改めて注目されています。
それが
「気づく力」 と 「まじめな雑談力」 です。
 
① 気づく力
小さな変化・異常・改善の種を察知できる力。
安全・品質・効率のすべてに直結する、現場の基盤スキルです。
② まじめな雑談力
作業の合間に交わされる “仕事につながる軽い会話” のこと。
メンバーが持つ気づきを引き出すためのコミュニケーション力です。
一見地味で表に出にくい能力ですが、
未然防止・改善・職場活性化の核心 を担っています。
 
4. 気づきとは何か?
 
気づきは単なる「よく見ている力」ではありません。
現場で得られる情報には、大きく分けて次の2種類があります。
 
① わかったこと
• 意図的な調査や点検によって得られる知見
• 例:設備保全計画に沿って点検し、基準値から外れた異常を確認する
 
② 気づき
• 予定外・意図せず発見した異常や改善のヒント
• 例:保全対象外の計器の異常や、普段気づかない作業のズレ
 
リーダーの 「気づく力」 は、この
“意図していない発見” を捉える力・感性 のことです。
 
🔳 気づきは「正しい状態を知る」ことで生まれる
気づきは観察力だけで発揮できるものではありません。
次の“基準”が揃って初めて機能します。
• 現場経験
• 専門知識
• 正しい状態の理解
リーダーが日頃から現場に足を運び、メンバーと話をしているほど、
「いつもと違う」「なんか変だ」 という違和感に気づきやすくなります。
また改善の気づきや発想は、
“めざす姿(理想像)を常に意識しているかどうか” で大きく変わります。
ニュートンのリンゴの逸話のように、
普段から考え続けている人ほど、本質を見抜ける のです。
 
5. 気づきはリーダーだけの仕事ではない
 
現場を最もよく知っているのは、
毎日作業をしているメンバー です。
だからこそ、現場のメンバーの気づきには大きな価値があります。
ただし、新人や経験の浅いメンバーは、最初から十分に気づけるとは限りま
せん。
そのためリーダーには、次のような 声を出しやすい雰囲気づくり が求めら
れます。
• 気軽に相談できる
• 報連相(特に“相談”)がしやすい
• リーダーが強圧的でない
安心して意見を言える土壌があることで、
現場全体の気づきが確実に増えていきます。
 
6. まじめな雑談が、気づきを引き出す
 
「まじめな雑談」とは、ただの世間話ではなく、
仕事の変化・違和感を拾うための軽い会話 です。
リーダーは情報を「聞き出そう」とするのではなく、
自然に状況を確認するように適切な質問をすることがポイントです。
このやり取りによって、
• メンバーの中に眠っていた気づきが表に出て
• 改善や未然防止につながり
• 意外なアイデアが生まれることもある
という流れが生まれます。
 
7. ルールと5Sが「気づきやすい職場」をつくる
 
気づくためには、職場自体が 正しい状態 である必要があります。
そのために欠かせないのが、
• ルール遵守
• 5Sの徹底
整った職場では、小さなズレでもすぐに
「おかしい」 と気づけます。
ルールや5Sは効率化のためだけでなく、
異常が目立ち、気づきやすい状態をつくる仕組み でもあります。
 
 
8. 気づきを放置しないことが、職場を守る
 
事故やトラブルの背後には、次のような見逃しがあります。
• 気づいていたのに放置した
• 気づいたが「いつものこと」として流した
気づきを放置すると、それが “正しい状態”として定着 し、
やがて重大な事故につながります。
だからこそリーダーは次のプロセスを徹底する必要があります。
 1. 気づいたら一度立ち止まる
 2. 重大性・緊急性・拡大性を判断する
 3. アクションにつなげる
なお、気づきがあっても行動につながらない背景には、
ヒューマンファクター(性格・傾向) も関係します。
危険を避けようとする人もいれば、
黄色信号でアクセルを踏み込むように、
“危険を承知で行動するタイプ” の人もいます。
リーダーは、このような個々の特性を理解したうえで、
気づきから行動を引き出す声かけやルール設計 を行うことが重要です。
 
また、アイデア創出も同じで、
小さな気づきの積み重ねが大きな発想につながります。
小さな山に登れば次の山が見え、道筋も見えてくる。
小さな気づきを活かすことが改革の第一歩 です。
 
9. まとめ ― 気づきのサイクルを回せるリーダーへ
 
現場リーダーに求められるのは、
“気づきのサイクル” を回し続けること。
1. 自ら気づく力を磨く
2. まじめな雑談でメンバーの気づきを引き出す
3. 気づきを共有しやすい環境を整える(ルール・5S・相談のしやすさ)
このサイクルが回り始めれば、
• 安全
• 品質
• 生産性
は自然に向上し、
メンバーがイキイキ働ける職場 が生まれます。
 
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Writer:鈴木巧  
TAKUMI安全品質ラボ代表/あつぎみらい21所属
リーダー、職長・安全衛生責任者トレーナー
Website: http://www.xxx.or.jp
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2.<活動報告> ■【オンラインセミナー&お話会】
          ~サービスの内部調達を目指して~
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第一のケース:ある団体で、ある時メンバーから、甲についてセミナーを開催
してほしい、とのリクエストがありました。そこで外部から甲の専門家である
A氏を招聘してセミナーを開催、謝礼1万円を支払いました。
第二のケース:この団体で、今度はメンバーから、乙についてセミナーを開催
してほしい、とのリクエストがありました。しかるにこの団体には乙の専門家
であるB氏が在籍していますので、B氏に依頼してセミナーを開催し、謝礼1万
円を支払いました。
 第一のケースでは、この団体から1万円減少し、この団体の知識レベルが向
上しました。
 第二のケースでは、この団体から1万円減少しましたが、内部メンバーB氏が
それを受け取りましたので、この団体と構成メンバーを含んだ領域からはお金
の減少はありません。そしてこの団体の知識レベルが向上しました。
 第一のケースはサービスの外部調達、第二のケースはサービスの内部調達と
いえます。そしてサービスの内部調達では、お金が減らずに知識レベルが向上
するので、こんな良いことはありません。それ故どんな団体・会社も、サービ
スを調達するに当たり、まずは内部調達を考え、それができない時に初めて外
部調達を考えるのがお勧めとなります。
 
 さて、当NPOにはいろいろなバックグラウンド、経験をお持ちの方が集まっ
ています。そこで、会員の方に講師になってもらい、4年前からオンラインセ
ミナーを始めました。さらに昨年からは、仕事関係だけでなく、趣味・教養の
面にも拡大したオンラインお話会も並行して行うことにしました。企業さんを
支援するにあたり、社長さんとの雑談力は重要なスキルの一つです。お話会が
会員の皆様の雑談力の向上に役立てれば良いと考えています。
 ちなみにこれまで開催したオンラインお話会のテーマは以下の通りです。
・「仏像の見方」(入門編)
・私のスローライフ体験談―自宅と田舎暮らしの2居住生活
・ワイナリーを巡る
・「仏像探訪」(関東・東北編+石仏)
 
 皆様の団体・会社でもサービスの内部調達を推進してみてはいかがでしょうか。
 
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 Writer:鈴木 健一(中小企業診断士)
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3.<経営情報> ■【各種セミナー情報】
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▼ その他のセミナー・講演情報
 
厚木商工会議所 セミナー/イベントのお知らせ
 http://www.atsugicci.or.jp/category/seminar/
 
相模原市産業振興財団 セミナー/イベントのお知らせ
 http://www.ssz.or.jp/event
 
川崎市産業振興財団 セミナー/イベントのお知らせ
 http://www.kawasaki-net.ne.jp/seminar.html
 
横浜商工会議所 セミナー・講習会のご案内 
 http://www.yokohama-cci.or.jp/event/
 
川崎商工会議所 セミナー・講演会スケジュール
 http://www.kawasaki-cci.or.jp/event/index.html
 
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■ 編集後記
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中国との関係悪化は、中小企業の業況にどのくらいの影響があるのでしょ
うか。中小企業はなかなか能動的には動けないのも事実ですが、これが脱
中国の加速につながるような気もしています。
 
では、次回のメルマガもお楽しみに。
 
本メルマガは、GoogleGroupで発行しております。GoogleGroupは本来
メーリングリスト機能のサービスですが、読者の投稿はできません。
メンバも当然非公開としています。ご安心ください。
 
発行者:特定非営利活動法人 NPOあつぎみらい21
編集長:脇本 清明(NPOあつぎみらい21事務局長)
Website: http://www.atsugimirai21.org/ 
E-mail: mailmag@atsugimirai21.org
 
編集担当:橋向 博昭
E-mail: hiro@at-bridge.com
Website: http://at-bridge.com
 
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