NPOあつぎみらい21の「かながわ Business Network」 2023年9月号 Vol.153

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  NPOあつぎみらい21の「かながわBusiness Network」 
                2023年9月号 Vol.153
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こんにちは、NPOあつぎみらい21「かながわ Business Network」
編集部です。 
毎月1回、メールマガジンを通じて皆さまの経営に役立つ情報をお届けして
参りますので、どうぞ宜しくお付き合いください。

暑さ寒さも彼岸まで。急に涼しい風が吹き出しましたが、予報ではまだまだ
暑さが治らないとか。ぼやいていてもしょうがないので、元気出していきま
しょう。

それでは、今号の内容です。
1.<経営講座> ■ 【ウェルビーイング」と「人事ニアリング」の薦め】
2.<活動報告> ■ 【株式会社 栄和産業様の工場見学】
3.<活動告知> ■ 【10月度オンラインセミナーのご案内】
4.<経営情報> ■ 【各種セミナー情報】


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1.<経営講座> ■ 【ウェルビーイング」と「人事ニアリング」の薦め】
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 最近「ウェルビーイング(Well-being)」と言う言葉を耳にする機会が増
えてきたと言う読者は多いのではありませんか。このウェルビーイングにつ
いて、慶応大学の前野隆司教授の著書「ウェルビーイング/日経文庫」から
引用してご紹介して、経営においてどう役立つのか考えて見たいと思います。

▼ウェルビーイングとは何か?

Well-beingが初めて言葉として登場したのは、1946年に設立された世界保
健機構(WHO)の憲章と言われています。WHO憲章においては「(広い意味で
の)健康の定義」のなかで使われている単語で、「満たされた状態」と訳さ
れ、身体的、精神的、社会的に良好な状態を広い意味で“健康”と言っていま
す。ですから、戦後間もなくから使われており、1980年発刊の英和辞典では
幸福、安寧、福利と訳されたおり、WHO憲章が反映されていることが窺えま
す。因みにSDGsの三番目の目標にGood Health and Well-beingとあり
ますが、こちらは「健康」と「福祉」の意味合いが強く、ウェルビーイング
はSDGsの上位概念と言えます。

ウェルビーイングを「健康」と「幸せ」と「福祉」の全てを包む概念として
捉えて、ここでは特に注目されている「幸せ」について考えて見たいと思い
ます。では、何故いまこのウェルビーイングが注目されているのでしょう
か。そこには学問的理由と社会的理由があり、心理学者を中心とした研究で
は、例えば幸せな人は「創造性が3倍高いこと、生産性が1.3倍高いこと、寿
命が7年から10年長く健康であること」など多くのことが分かってきまし
た。一方、社会的な理由としては、時代の変化とともに地位財(カネ、モ
ノ、地位など他人と比べられる財)から非地位財(幸せや健康など自分の中
で昇華させる財)へと価値観が移ってきたことにあります。

別の視点からは新しい社会に必然なものと捉えています。人類誕生から現在
まで、20万年を「人類史における拡大・成長と定常化のサイクル」で見る研
究があります。初めは狩猟採集で生活し人口が増加しますが、食料が足らな
くなると5万年前から1回目の定常化が始まります。そして約1万年前に農耕
が始まり人口が増加に転じ都市が成立しますが、農業にも限界が来て2回目の
定常化が始まります。400年ほど前に工業が起こると産業革命・情報化・金
融化へと再び人口が増えます。しかしその後は地球環境の限界が到来し、3回
目の定常化が始まるというものです。ここで注目すべきことはそれぞれの定
常化の時期に、壁画などのアートの発明など文化が栄え(1回目)、哲学・思
想・宗教が生まれた精神革命があり(2回目)、そしてこれからの3回目は心
の豊かさを目指す時代になるという考えです。SDGsやESGがそのトレンドに
あり、経済成長から心の成長を目指すウェルビーイングの社会になるという
ものです。

では、これからの社会を経営の視点から見るとどうでしょうか。持続可能で
成長して行くにはウェルビーイングがとても大事で、経営者にとっても、企
業で働く人たちにとっても、「幸せ」であることに努力すべき時代と言えま
す。個人個人も健康診断の様に幸福度を計測できる「幸福度診断 Well-
Being Circle」がありますので、定期的に診断して幸福度を高めるとより
ウェルビーイングに近づくのではないでしょうか。幸福度診断をして分かる
ことは、利他的である人は利己的な人よりも幸福と言うことです。お試し下
さい。

ウェルビーイング診断のURL:
https://www.well-being-design.jp/measurement/measurement1/

▼企業におけるウェルビーイング
日本には「近江商人の三方よし」という商い(経営)の思想がありました。
売り手(自分)よし、買い手(お客様)よし、世間(社会)よしという考え
方で、これに子孫よしを加えて四方よしとも言います。でも、これは経営者
の視点かも知れません。働く人たちもWell-Being「幸せ」でないと、これ
からの厳しい経済環境の中でより良いパフオーマンスは出来ないでしょう。
従業員ウェルビーイングに取り組んでいる企業は既にありますが、何をして
いるかは「日本で一番大切にしたい会社」(坂本光司著、あさ出版)が参考
になると思います。

読者の皆さまにはできることから取り組んでもらいたいと思います。先ず
は“オ・ア・シ・ス”から始めては如何でしょうか。「おはようございます」
「ありがとうございます」「しつれいします」「すみません」が素直に言え
る明るい職場は利他的な人の集まりと言えます。一方で、「オレじゃない」
「アイツがやった」「知らなかった」「済んだこと」がはびこっている悪い
オアシスの職場は、利己的な人の集まりでウェルビーイングな会社とは言え
ません。

▼組織を機能させる“人事ニアリング”の薦め
私は、「人と組織と地域をサポートする経営コンサルタント」として、“人事
ニアリング”という組織を機能させる考え方・手法を提唱しています。人事と
エンジニアリングを合せた造語で、“組織を機能させる為には人から”と言う
考えに基づき、具体的な手法として次の4つの取組みをお薦めしています。

① 組織を機能させる為に“人を育てよ”
② 管理部門は“サービス部門” (コストセンターではない)、現場主義で
  あれ(サービスマーケティングを浸透させよう)
③ “ブレーンストーミング”でアイデアを出そう
④ 仕事は“コーディネーション”(上下、左右、前後との調整)が肝人事ニ
  アリングは利他的な考えで、ウェルビーイングに通ずるるものがあります。

少子高齢化による労働者不足、物価高、競争の激化など、厳しい経済環境の
なかで、先進国の中で労働生産性は低いと言われる日本で、持続して成長す
るには、従業員の幸福感(ウェルビーイングな状態)を高めて生産性を高め
ていくことが必要なことと思います。

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 Writer:東 新(NPOあつぎみらい21 理事/中小企業診断士)
     「人と組織と地域をサポートする経営コンサルタント」
 Contact: higasi.sin@lemon.plala.or.jp
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2.<活動報告> 【株式会社 栄和産業様の工場見学】
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8月10日、NPOあつぎみらい21の会員8名で、綾瀬市の株式会社 栄和産
業様の本社工場を見学しました。以下に、その概要と感想を述べます。

1.訪問企業概要

 企業名		株式会社 栄和産業(綾瀬市吉岡東4-15-5)
 代表者		伊藤 正貴 (2014年4月就任)
 資本金		2,300万円	従業員数	184名
 事業概要	自動車部品や建設機器部品の加工、溶接等
 工場数		綾瀬市に12工場、沼津市に2工場
 機械設備	プレス、レーザー、ベンダー、測定器、CAD等

2.社長様の講和

 社長様から60分以上に渡り、事業概要、従業員や経営方針等について、丁
寧なお話しをして頂きました。下記のような多様な人材を活かす場を創造さ
れています。

・外国人労働者の雇用:外国人は全従業員の約24%を占め、現場で活躍して
 いる。
・障がい者雇用:全従業員の約9%を占めると共に、支援学校の職場実習も積
 極的に受け入れている。
・女性従業員:全従業員の約19%を占め、製造業としては女性の割合が多
 い。
・受賞例の紹介:4.項に記載

3.本社工場の見学
 当工場はバスのフロントルーフ等のレーザー加工、ベンダー加工、溶接、仕
上げ等の工程があり、機械設備も大型サイズが多く、工程毎にレイアウトさ
れていました。

・作業員は20~70代の方が働いており、我々見学者は軽い挨拶を受けま
 した。
・工場内は整理整頓されていました。

4.受賞例
・2019年12月:“えるぼし”の三ツ星認定 
・2020年3月:「新・ダイバシティ経営企業100選」 
・2021年3月:「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞 審査委員会特別賞
・2021年5月:「かながわSDGsパートナー」に登録
・2023年3月:障害者雇用優良中小企業主(もにす認定事業主)

5.個人的に感動した点
 栄和産業様は、「企業理念」として“ダイバーシティの力で笑顔あふれる未
来を創り出す”を掲げており、その一環として、「CSR活動」と「SDGs
活動」も推進されています。

1)企業理念
 当社では「ダイバーシティの力で笑顔あふれる未来を創り出す」を企業理念
 に、市場の要求の多様化に応じ、「性別・障害の有無・年齢・国籍・性的
 指向・性自認・信仰」などに拘らず、多様な人材を生かし、最大限の能力が
 発揮できるように取り組む。

2)CSR活動
 当社は社会的責任として地域社会に貢献します。 
 取組みとして、落合小学校工場見学、綾瀬ものつくり工場見学、租税教室の
 実施、市内小学校の特別事業、実習生の受け入れ等を実施している。

3)SDGs活動
 SDGs活動は下記の3つのテーマを対象として、取組んでいる。
      
     	活動の概要	  SDGs目標の番号
1 ダイバーシティ・多様な人材雇用	5,8,10
2 日本語塾、租税教室等のCSR活動	4,9
3 「深絞り」の技術を武器に、コスト	7,8,12,13
  低減、リサイクル化、環境負荷の低
  減、環境向上に努めている	


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 Writer:安藤一彦
 中小企業診断士
 NPOあつぎみらい21 理事
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3. <イベント告知> ■ 【10月度オンラインセミナーのご案内】
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10月度のオンラインセミナーを、以下の要領で開催します。皆様の参加をお待
ちしています。

日時 10月12日(木) 19時から1時間半程度
主催 NPOあつぎみらい21
会場 Zoomによるオンライン
参加費 無料
講師 工藤 徹郎 先生
演題 物流危機と「物流機械(マテハン)」

[講師略歴]

 大学卒業後、自動搬送・仕分・保管設備の営業に19年間従事。
 全社ビジョン計画に参画したことを契機に、企画管理部門に転身。
 マネジメントとともに赤字対策から成長戦略に至る過程をともに戦う。
 令和5年、中小企業診断士・社会保険労務士の業務を行う事務所を独立開業。
 得意分野は、モノを取り扱う業界(製造業・流通業・運輸業)向け、
 経営戦略・生産性向上・組織人事労務戦略

[セミナー概要]

 物流危機を加速する「物流2024年問題」の到来はもう間近です。
 その対応策の一つが「物流機械=マテハン」。
 近年、マテハンなどロボティクスの分野は目覚ましく進化を遂げており、
 我々の身近になる日も遠くはないでしょう。
 物流危機と物流機械についてお話させていただきます。

◎申し込み方法:下記アドレス宛メールでお申し込みください。
 数日前までにURLをお知らせします。

suzuki27320@tbb.t-com.ne.jp

なお、この案内は直接のお知り合いに限り紹介可能としますので機会がありま
したらお願いします。お知り合いの方から再度の紹介や一般公開されているメ
ディアへの掲載はご遠慮ください。

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 Writer:鈴木 健一(中小企業診断士)
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4.<経営情報> ■ 【各種セミナー情報】
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▼ その他のセミナー・講演情報

厚木商工会議所 セミナー/イベントのお知らせ
 http://www.atsugicci.or.jp/category/seminar/

相模原市産業振興財団 セミナー/イベントのお知らせ
 http://www.ssz.or.jp/event

川崎市産業振興財団 セミナー/イベントのお知らせ
 http://www.kawasaki-net.ne.jp/seminar.html

横浜商工会議所 セミナー・講習会のご案内 
 http://www.yokohama-cci.or.jp/event/

川崎商工会議所 セミナー・講演会スケジュール
 http://www.kawasaki-cci.or.jp/event/index.html

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■ 編集後記
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ビッグモータの件で、損保ジャパンの社長が辞任に追い込まれました。本件
も東芝の問題のきっかけである「チャレンジ目標」も、無理な業績数字の積
み上げとそれを許した、ものの言えないマネージメントでした。
試験の点数だけを追い求め、カンニングしてまで点数を稼いでも、ばれたら
おしまいだということに、経営者は気が付かなければなりません。そして、
本当のことが言える環境を作り上げ・維持できないと、裸の王様が会社をそ
して国をも滅ぼしかねないことを肝に銘じましょう。

では、次回のメルマガもお楽しみに。
本メルマガは、GoogleGroupで発行しております。GoogleGroupは本来
メーリングリスト機能のサービスですが、読者の投稿はできません。
メンバも当然非公開としています。ご安心ください。

発行者:特定非営利活動法人 NPOあつぎみらい21
編集長:東 新(NPOあつぎみらい21事務局長)
Website: http://www.atsugimirai21.org/ 
E-mail: mailmag@atsugimirai21.org

編集担当:橋向 博昭
E-mail: hiro@at-bridge.com
Website: http://at-bridge.com

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