NPOあつぎみらい21の「かながわ Business Network」 2025年3月号 Vol.171
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NPOあつぎみらい21の「かながわBusiness Network」
2025年3月号 Vol.171
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こんにちは、NPOあつぎみらい21「かながわ Business Network」
編集部です。
暖かくなりました、春です。例年のことですが、桜便りが気になります。今年
はどこの桜を見に行きましょう。まあ、とりあえず近くの蕾を愛でつつ一杯?
さて、今月の内容です。
1.<経営講座> ■【2025 年のロボット5大トレンド(IFR発表)】
2.<活動報告> ■【オンラインセミナー開催報告】
3.<経営情報> ■【各種セミナー情報】
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1.<経営講座> ■【2025 年のロボット5大トレンド(IFR発表)】
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▼ 2025 年のロボット5大トレンド
「国際ロボット連盟(IFR)発表」フランクフルト、2025年1月22日
世界中に設置された産業ロボットの市場価値は、165億米ドルという史上最高
値を記録した。数多くの技術革新、需給の市場原理、新たなビジネス領域が今
後の需要を後押しするものと考えられる。
国際ロボット連盟は以下のような2025年のロボット5大トレンドを発表した。
1.人工知能 - フィジカル型、分析型、生成型
ロボット産業において人工知能導入の機運が高まっている。
各種AI技術の活用により、ロボットはより効率的に多様な任務がこなせる。
分析型AIにより、ロボット搭載のセンサーで収集した大量のデータを処理し、
分析することが可能になる。外部環境、多品種少量生産、公共環境における
変動性と予測不可能性を管理するのに、それが役立つ。たとえば視覚装置を
組み込んだロボットは過去の任務の分析を通じてパターンを特定し、操作を
最適化することで精度と速度を高める。
最近、ロボット及び半導体の製造会社の間で、実世界の環境をシミュレート
する専用のハードウェアとソフトウェアを開発する投資が進んでいる。
いわゆるフィジカルAIにより、ロボットは仮想環境で自己トレーニングを行
い、プログラミングではなく経験に基づいて作動することが可能になる。
これらの生成AIプロジェクトが目指しているのは、フィジカルAIにおける
「ChatGPTリリースの瞬間」のようなインパクトを生み出すことだ。
従来の産業環境ならびにサービスロボットの用途で、このAI主導型のロボッ
トシミュレーション技術は今後さらに進歩するであろう。
2.ヒューマノイドロボット
人型ロボットがメディアの注目を集めるようになった。そこで思い描かれて
いるのは、自律的に洗浄機に皿を入れ、組立工程やその他場面に投入できる
汎用ツールとしてのロボットである。
いくつものスタートアップ企業がそのような汎用人型ロボットの開発に取り
組んでいる。
その一方、産業向けの(ロボット)メーカーは、単一目的の任務だけを担う
ヒューマノイドの開発に集中的に取り組んでいる。これらのプロジェクトの
大半の舞台となっているのが、産業用ロボット史を通じてロボット利用の先
駆者として重要な役割を担ってきた自動車産業であり、また倉庫保管業であ
る。
しかし、ヒューマノイドロボットが採算性のある、スケーラブルな産業向け
ビジネスケースを見いだせるかは現時点では不明である。とりわけ既存のソ
リューションと比較してどうかは不透明である。
しかし、人型であることに本質的なメリットがあり得る分野も数多いことか
ら、物流や倉庫保管業などでは潜在的に人型ロボットの市場性がある。
3.持続可能性 - エネルギー効率
適格サプライヤとしてホワイトリストに含めてもらうには、UNの環境的に持
続可能な目標、ならびに対応する規制に世界中で適合することが重要な要件
となってきている。
そのような製造会社による目標達成を後押しする要素として、ロボットは中
心的な役割を果たす。 一般的に、ロボットは高い精度で任務を遂行できるこ
とから、材料ロスを軽減し、製造工程の投入産出比率を高める。
製品の長寿命化とメンテナンス最小化を図る上で品質の安定化が重要になる
が、この自動化システムがそれを実現する。
太陽光パネル、EV用バッテリー、またはリサイクル設備などのグリーンエネ
ルギー機器の製造において、ロボットはコスト効率に優れた製造には不可欠
である。製造会社はロボットを活用することで、品質や持続可能性で妥協す
ることなく、需要拡大に応えるために製造を迅速にスケールアップできる。
同時に、ロボット自体のエネルギー効率を高めるために、ロボットの技術改
良が進められている。たとえば、ロボットの可動部品の軽量化により、エネ
ルギー消費を削減できる。
多段階のスリープモードにより、ハードウェアをパーキング位置に戻して省
エネにつなげる。
グリッパ技術が進歩するなかで、生体工学の応用によりエネルギー消費をほ
ぼ皆無に抑えながら、高い把持力を実現する。
4.ロボットの新たなビジネス領域
一般製造業には、ロボットによる業務自動化の余地が大いにある。製造会社
の大半は中小企業であり、中小企業による産業ロボット導入をまだ妨げる障
壁となっているのが初期投資と総所有コストの高さである。
RaaS(ロボット・アズ・ア・サービス)のビジネスモデルでは、企業は固定
資本への投資を要することなく、ロボットによる業務自動化の恩恵に浴する
ことができる。特定の産業や用途に特化したRaaSプロバイダーは、機能性の
高いソリューションを素早く提供できる。
その一方で、高性能ロボットではオーバースペックでニーズに合わないと感
じる 見込み客にも、低価格ロボットはソリューションを提供する。
精度、積載量、耐用年数に関する要件が高くない用途も多い。「その程度で
十分」と考える新たな顧客層にアピールするのが低価格ロボットといえる。
製造業以外の新たな顧客分野として注目されるのが建設、ラボ自動化、倉庫
保管の業種などである。
最近の危機的な局面を受けて、戦略的に重要な業種における国内生産能力に
政治的な関心が高まっていることを追い風として、業種の別を問わず需要が
伸びている。自動化により、製造会社はコスト効率を犠牲にせずにニアショ
ア生産が可能になる。
5.人手不足対策としてのロボット
国際労働機関(ILO)によれば、世界的に製造業では人手不足が続いていると
いう。その主な要因としては少子高齢化が挙げられ、それが米国、日本、中国、
韓国、ドイツなどの経済大国の労働市場の足かせとなっている。
国により程度の差こそあれ、それがサプライチェーンに累積的にもたらす影響
はほぼどこの国でも懸念事項となっている。
ロボットの利用は製造業における人手不足の影響を大きく緩和する。
汚く、単調で、危険な任務、または細心の注意を要する任務を自動化すること
により、労働者はもっとやり甲斐のある、価値の高い任務に集中できる。品質
の目視検査、健康に有害な塗装作業、または力仕事などの退屈で面倒な仕事は、
ロボットが引き受ける。
高い操作性、協働ロボット、モバイルマニピュレータなどのロボット技術の進
歩は、その時と場所を問わず求められる労働力の穴を埋めるのに貢献している。
6.国際ロボット連盟(IFR)発表を要約すると以下のようになります
6-1 AIが活用されるロボットが求められる
6-2 人型ロボットが望まれるが不透明な状況もある
6-3 ロボットにエネルギー効率と持続可能性が求められる
6-4 ロボットの新たな市場性としてRaaSのビジネスモデルが考えられる
6-5 人手不足対策としてのロボットの活用が求められる
ロボティクス・アズ・ア・サービス(RaaS:Robotics as a Service)とは、
ロボットを開発・提供するロボティクス企業が、必要なときに必要な分だけロボ
ットを貸し出すサブスクリプション形式のサービスで以下の2通りがあります。
a 時間ベースのリース
b タスクベースのリース
7.これから期待されるビジネスモデル
AIを活用したロボットがリースで運用される市場が増えていきそうです。
製造業は大半が中小企業なので、人材や人手不足を補完するリースのAIロボト
を活用した事業が発展しそうです。
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Writer:勝山 健
NPOあつぎみらい21 会員
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2.<活動報告> ■【オンラインセミナー開催報告】
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2月26日行いましたオンラインセミナー「強い現場をつくるリーダー」から、
その概要について報告します。
<強い現場をつくるリーダーに求められるスキル>
現場のリーダーには、職場の業績を達成することに加え、活気のあるイキイキと
した職場づくりが求められます。特に「強い現場」とは、突発的な問題や事故、
予期せぬ変化に対応し、継続的に改善を進められる現場を指します。そのために
は、問題の発生を未然に防ぐ力と、変化に適応しながら成長し続ける力が必要で
す。
ここでは、強い現場をつくるためにリーダーが身につけるべき2つの重要と考え
るスキルを述べます。
1. 強い現場をつくるための2つのスキル
① 気づき、改善するスキル
突発的な問題の多くは、後になって振り返ったときに「事前に気づいていれば防
げた」と反省するものです。問題を未然に防ぎ、早期に対応するためには、次の
2つの「気づき(気づく力)」を養うことが大切です。
・日常業務の中で問題を発見する気づき(ムリ・ムダ・ムラ、いつもと違うこと
に気づく力)
・新しいアイデアを生み出す気づき(課題達成のための創造的発想の気づく力)
これら気づきを改善に結びつけるスキルが大切です。
前者の気づきは日々の問題解決(SDCAサイクル)で重要となり、後者はより高い
目標を達成するための改善活動(PDCAサイクル)で必要になります。
② 自ら手を挙げる人材を育てるスキル(活気のあるイキイキとした職場づくり)
リーダーは、メンバーが主体的に行動できる環境を整え、「自ら手を挙げる文化」
を育てる必要があります。指示を待つのではなく、「はい、私がやります」と自
発的に行動するメンバーが増えることで、職場の活性化と業績向上につながりま
す。
これら2つのスキルをまずは現場のリーダーが意識し身につけたい。
2. 気づきを得るために必要なこと
① 気づく力を高める
・「あるべき姿(目標)」を明確にし、現状との差を意識し続ける
・ 瞬間的な違和感を察知し、見過ごさないようにする
例:ニュートンがリンゴが木から落ちるのを見て万有引力を発見した(逸話)よ
うに、小さな違和感を重要な気づきにつなげる
② 気づきやすい環境をつくる
5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の徹底し職場の状態を整え変化を察知し
やすくする。
標準化の推進:ルールや手順を明確にすることで、ばらつきを減らし、小さな異
変にも気づけるようにする。
3. 気づきを活かすために大切なこと
① 最初の気づきを大事にする
気づかずに放置すると、それが「当たり前」となり、問題が見過ごされる。
② 気づきを共有し、相談できる環境をつくる
チームで共有する文化をつくる:気づきをすぐに仲間や上司と共有し、迅速に対応
する。
朝礼やミーティングの活用:気づきを共有する場を設ける。
日常の「まじめな雑談」を奨励:普段の対話の中で、自然に気づきを交換できる関
係を築く。
③ 気づきを改善につなげる
気づいた後に暫定的な対処で終わらせず、恒久的な改善策を考え、標準化する。
問題を整理し、具体的な改善目標を設定して実行する。
4. 気づき改善の進め方
リーダーは、効果的な改善の進め方を理解し、後戻りの少ない改善を実践すること
が求められます。
① 改善のステップ
1)現状を把握し、プロセスを可視化する:事実をベースに、結果から遡って問題
点(結果と仕事のやり方のまずさ)を認識する
2)問題を整理し、目標を設定する:層別(問題の分類)を行い、期限を定めた定量
的な目標を設定する。
3) 改善策を計画・実行し、評価する:SDCA・PDCAサイクルを活用し、継続的な
改善を推進する。
*小さな改善の積み重ねる:小さな山に登ることで、次に登るべき高い山が明確に
見え、途中の障害や道筋が見えてくる。小さな気づきの積み重ねが、大きな改革へ
とつながる。
5. 自ら手を挙げる人材を育てる
気づきを大切にし、改善提案が実際に反映される経験を積むことで、メンバーは自主
的に提案し行動する意欲を持つようになります。
① リーダーの姿勢
・メンバーの提案を否定しない:たとえ方針と異なっても、頭ごなしに否定しない。
・成功体験を積ませる:提案が形になり、成果が出る経験を重ねることで主体性が育つ。
② 主体性を尊重し、組織方針とすり合わせる
・「はい、私がやります」と言える環境をつくる
・メンバーの提案が方針と異なる場合、代替案を提示する
・リーダー自身が日常の対話(まじめな雑談)を大切にする
リーダーは日頃からコミュニケーションを取り、職場の方針や現状をメンバーと共有
することが重要です。そして、チーム全員で取り組んだ成功体験が、次の自信へとつ
ながります。
6.最後に
仕事とは「お客様(相手)へのお役立ち」。
お客様のために「はい、私がやります」と手を挙げたとき、仕事の質が高まり、チーム
全体の成果につながります。
リーダーは、
・気づき、改善するスキル
・自ら手を挙げる人材を育てるスキル(活気のあるイキイキとした職場づくり)
を養い、育み、推進し続けることで、強い現場をつくることができます。
そして、業績はその結果として自ずとついてきます。
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Writer 鈴木巧(NPOあつぎみらい21)
“現場リーダーの育成についてはお任せください“
ご意見、お問合せ先:takumi.suzuki.lab@gmail.com
お気軽にご連絡ください。
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3.<経営情報> ■【各種セミナー情報】
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■ 編集後記
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春場所、高安関は3度目の正直成らず準優勝に終わりました。いつも、もう
一歩のところで押し返される。人生とはそう言うものでしょうか。素晴らし
い才能の若手が台頭してきて世代交代が始まる中、なんとか実績を残したい
気持ち、ようくわかります。
もう無理かもしれません。でも、もう一回頑張れと言ってあげたい。
では、次回のメルマガもお楽しみに。
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メンバも当然非公開としています。ご安心ください。
発行者:特定非営利活動法人 NPOあつぎみらい21
編集長:脇本 清明(NPOあつぎみらい21事務局長)
Website: http://www.atsugimirai21.org/
E-mail: mailmag@atsugimirai21.org
編集担当:橋向 博昭
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