NPOあつぎみらい21の「かながわ Business Network」 2019年12月号 Vol.108

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  NPOあつぎみらい21の「かながわ Business Network」
                  2019年12月号 Vol.108
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こんにちは、NPOあつぎみらい21「かながわ Business Network」
編集部です。
毎月1回、メールマガジンを通じて皆さまの経営に役立つ情報をお届けして
参りますので、どうぞ宜しくお付き合いください。
年の瀬です。今年も来てしまいました。
年賀状はお済みですか? お仕事の区切りはついていますでしょうか?
大掃除もこれからですよね。 忘年会にうつつを抜かし、何もかも新しい
年に先送りってことは・・・ (それは私です。)
では、今月の内容です。
1.<経営講座> ■ 【起業について(製造業)】
2.<活動案内> ■ 【工業活性化コーディネーターによる企業巡回訪問】
3.<経営情報> ■ 【各種セミナー情報】
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1.<経営講座> ■ 【起業について(製造業)】
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起業に関する事は多くの書物に書いてありますが、自分の経験を基に先ずど
んなことを考え、何をしたら良いかを書いてみました。
実際に始めると当たり前の事がなかなか大変で、これから起業する方々に少
しでも参考になればと思っています。
▼ 起業を考える前に
独立してどんな会社を始めるか?
お金を儲けたい、社会に貢献したい等々ありますが、どんな形態の会社にす
るかが重要です。
中小企業型かベンチャー企業型かで進め方が異なってきます。
どちらが良いかは起業家の価値観・人生感で決まります。
また、会社を運営するにはお金が要ります。
自己資金、借入金、助成金、補助金等の検討も大切です。
▼ 事業内容と経営形態
中小企業型の傾向
大企業の下請け的な仕事で利益が薄い場合が考えられます。
もちろん利益率が高いことが望ましい訳ですが結構難しいです。
事業に特徴がないと公的支援も難しく、資金繰りは自己資金や銀行からの融
資で行う場合が多くなります。
利益が少ないと、従業員や役員の給料も安い場合が多く求人も大変です。
ただ、株式の重要性は低くいので、個人事業主としても起業できます。
立ち上げ易い分野で実現性の高いプランが有れば成功し易いと考えられます。
ベンチャー企業型の傾向
革新的な技術を使った事業が多く見受けられます。
高リスクですが、急成長の可能性もあり、高利益が期待できます。
ベンチャーキャピタルからの資金調達も期待でき、成長優先の経営も可能で
す。
大企業の下請け的な場合は少なく、ビジネスプランが重要となります。
他社との差別化も大切で、オンリーワンの会社を目指すことになります。
将来を考え、株主構成、役員構成も考慮する必要があります。
株式の考え方が重要で当然会社は株式会社となります。
中間的企業型
リスクは少なめで、利益は多めにを目指す会社です。
ちょうど中小企業型とベンチャー企業型のメリット・デメリットを併せ持ち
ます。
他社と差別化できる加工技能とか総合(複合)技術等を持っていれば、その技
能・技術を売りにする会社で、下請的な仕事の場合は営業に係る経費も削減
できます。
ただ、何を売りにするのか、人材をどうするのか等で事業の幅が制約されま
す。
自由度が少ないので、会社が成り立つビジネスプランも大切となります。
▼ 起業の第1歩
  
まず、自分の頭の中の計画を文書化して何時でも確認することが重要です。
PDCAサイクルを意識して「計画」「実行」することが大切です。
実行すると計画の良否が分かりますが、文書化されていないと曖昧になりま
す。
計画の最初に「企業理念(こんな会社にしたい)」を明確にします。
次に「事業の領域」「長期展望」「計画(収支、資金、人員、開発、仕入、
生産、販売、等々)」「予算と実行計画(何時、誰が、何を、どこで、ど
のように)」を文書化します。計画は数値化することで分析がし易くなり
ます。また、第三者にも分かる様に書くことで取引先、公的機関等への説
明が出来ます。
最初から信頼される会社としてスタートする事が大切です。
次に、お金が回れば会社は成り立ちます。
しかし製造業の場合には一般的に現金取引は難しいのが現状です。
物が売れてもお金の回収に時間がかかります。
月末〆翌月25日支払、手形サイト120日だと5か月後~6か月後となり
ます。約半年近くお金が回収できない場合もあり資金繰りは重要です。
また、操業開始時の仕入れは現金の場合が多く出金が多くなります。
補助金と資金繰り
補助金が入ると楽になると思われますが、補助金は一般的に実施結果と報
告書を提出した後に支払われるため、入金は年度末頃になります。そのた
め、補助金相当の費用(約1年分)を事前に準備しておく必要があります。
また補助金で購入した測定器等の流用に制限がある場合もあります。
固定費と変動費
変動費は売るモノを作ることで発生し売上げや利益に繋がりますが、固定
費は人件費、設備機械のように一定のお金が継続的に固定されて資金繰り
にも影響します。よって、固定費は会社の将来が見通せない間は少なくし
た方が安全です。
お金の流動性(固定資産と流動資産)
現金の様に自由に直ぐに使えるお金は大切です。
資産が多くあってもそれが不動産や設備になっていて現金が無ければ何も
買う事は出来ません。借入金も含めて、会社のお金の流動性を表したもの
が貸借対照表です。よって決算書でもその表紙を飾る重要なデータとなっ
ています。
お金の流動性は企業経営にとって大切な要素の一つです。
会計処理
創業時は忙しいのでお金がどんぶり勘定になりやすくなります。
しかし最初からルールを決めてやることが大切です。
支払伝票と領収書はセットにしておけば仕訳作業も決算も楽になります。
「後でやるから」は二度手間となり時間のロスとなります。
伝票は月を渡らないように集計します。
在庫品、仕掛品などの処理があいまいだと信頼されません。特に年度末決
算月はきちっと行わないと税務署に追及されます。
就業規則等
労働時間や給与は従業員を雇用するための基本です。
しっかりした就業規則が有れば助成金、補助金などの公的支援も活用でき
ます。職業安定所で求人する場合には不可欠な規則です。
また残業時間、休日出勤などは時間給の支給割合が違うので正確に記録し
ておく必要があります。
出張旅費・交通費の清算
交通費は領収書が無い場合が多いので忘れないようこまめに記入しましょ
う。出張費精算で時間(出発時間・行先・到着時間・帰着時間)と出張目的
等を記入する簡易出張報告も兼ねる方法にするとか、週間清算にするとか
して書類の簡素化、削減、精算作業時間の短縮などを考える事も大切です。
出張の中身の少ない報告書は書くことが苦痛になり提出されなくなるので
清算と関連付ける方法(出張精算兼用)で必ず提出される様式にする事も良
いかと思います。
ファイリング
ファイリング要領を考えた書類のフォーマットを考えて、A版、B版かを最
初から統一する事も大切です。結構書類の保管は手間がかかります。分か
りやすく何時でも書類が見つけられる様な工夫が会社の財産となります。
  以上、実際に会社をやった経験から気が付いた諸点を書いてみました。
これ以外にもやらねばならない事は多々ありますが、限られた時間を効率
良く使い解決して行く事かと思います。
  スタートの第一歩が大切です。
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 Writer:勝山 健
     NPOあつぎみらい21 会員
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2.<活動案内> ■ 【工業活性化コーディネーターによる企業巡回訪問】
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▼事業の背景と目的
 産業創造の町を目指す綾瀬市は工業が基幹産業であり、その蓄積された
高度な人財と技術や、(仮称)綾瀬インターチェンジの設置による立地の
強みを有しています。一方、市内には4つの工業団地があり自動車関連の
金属加工業を中心とする「ものづくり中小企業」の集積地として長年の実
績があります。
 私共「NPOあつぎみらい21」では、綾瀬市より「工業活性化コーデ
ィネーター事業」を受託し、綾瀬市内企業の持続的な事業展開を支援する
ため大手企業などの技術者OBで中小企業診断士などの資格を有する支援
専門家(NPOあつぎみらい21の会員)を派遣し、市職員と一体となっ
て企業巡回訪問を行なっています。
 この事業では、巡回訪問により各企業のニーズやシーズを詳細に把握し、
綾瀬市が企業に対して提供する各種施策とのマッチングを図ることにより、
販路拡大や新商品開発のほか、企業間連携、産学公連携・農商工連携など
の新たな事業展開を促進することを目的としています。
▼事業の概要
本受託事業は平成23年度よりスタートし、現在9年目になる事業です。
事業の概要は、企業の経営全般に亘る情報の提供と意見交換ですが、特に
下記項目を重点に事業を進めています。
(1)経営改善相談、経営アドバイザーの派遣
(2)人材確保、人材育成に関する施策情報の提供と利用促進
(3)受発注ニーズの把握
(4)技術及び研究開発ニーズの把握
(5)企業データの収集及び作成
(6)公的支援施策の情報提供及び利用促進
(7)企業間・公設試験研究機関・大学とのマッチング支援
(8)企業立地に関する施策の説明とニーズの把握
▼事業の実施と実績
1.事業の実施
市で選定された市内製造業者について巡回訪問を行います。訪問し面談い
ただく時間は1社当たり2時間程度で、月1~2 社を目安に訪問します。
また、必要のある企業は2回目以降の訪問を行うこともあります。市職員
とNPOメンバー併せて2~4名で企業を訪問します。
2.事業の実績
年間20数件の企業を訪問し、訪問先企業の現状や経営課題・要望を伺う
と共に、綾瀬市の中小企業支援施策を説明し利用の促進を図ります。
訪問先企業の業種は、生産用機械器具製造業、金属製品製造業に関する業
種が大半であり、綾瀬市の特徴ある業種を重点的に訪問できていると考え
ています。
▼事業の成果
近年企業業績は徐々に回復しており、企業経営の課題、要望の傾向として
は、人材の高齢化や若手人材、経験者の確保に関する要望・課題が多くな
っています。人材確保は綾瀬市に限った課題でなく、中小企業に於いては
切実な課題です。高齢者の再雇用や外国人の雇用など色々工夫されていま
す。また、企業立地(増築、改築を含む)や設備導入に関する相談もあり
ます。
企業向けの施策のPRは一般にホームページ(ウェブサイト)に掲載した
り、チラシの配布などで行われていますが、隅々までの浸透はなかなか難
しく、施策をご存知ない経営者もあります。従って企業向け施策を知って
いただくことも本事業の基本的な成果です。また、企業訪問を実施してい
る自治体は他にもありますが、継続的に実施されていて、中小企業の現場
の要望をきめ細かく行政の施策に反映されているかどうかが企業訪問事業
の重要な評価ポイントであると考えられます。綾瀬市の本企業訪問では
「あやせ工場」の理念の下、企業の現場の要望をきめ細かく把握し、施策
に反映するとのミッションが上手く機能しているのではと考えられます。
綾瀬市ならではの特徴ある施策への反映と共に、新たな施策のPRに於い
て有力な手立てになっていると考えています。現在の綾瀬市の特徴ある中
小企業向け補助金や支援事業の主なものは下記の様です。
・中小企業活性化補助金
 経営アドバイザー派遣、見本市出展、産業財産権取得、
 産学公連携補助金など
・ものづくり人材育成補助金
・技能検定支援補助金
・受注拡大補助金
・設備導入補助金
・ダイバーシティ経営推進補助金
・あやせ工場ネットワーク構築事業
 あやせ工場合同入社式&合同研修会など
・あやせ技能五輪、あやせ工匠塾など
・工業データーベースへの登録支援
このような中小企業向け支援施策の利用促進をより一層進めることにより、
市が掲げる工業の将来像である、「ものづくりネットワーク都市」が実現
されてくると考えています。
参考情報:関連する綾瀬市のサイト
工業関係の支援制度(補助金・融資)
https://www.city.ayase.kanagawa.jp/hp/page000017400/hpg000017341.htm
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 Writer:石崎洋之(NPOあつぎみらい21)
     “アイデアの創生と実践”
 Tel : 090-2646-5590
 Mail : NAD02576@nifty.com
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3.<経営情報> ■ 【各種セミナー情報 】
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▼ その他のセミナー・講演情報
厚木商工会議所 セミナー/イベントのお知らせ
 http://www.atsugicci.or.jp/category/seminar/
相模原市産業振興財団 セミナー/イベントのお知らせ
 http://www.ssz.or.jp/event
川崎市産業振興財団 セミナー/イベントのお知らせ
 http://www.kawasaki-net.ne.jp/seminar.html
横浜商工会議所 セミナー・講習会のご案内 
 http://www.yokohama-cci.or.jp/event/
川崎商工会議所 セミナー・講演会スケジュール
 http://www.kawasaki-cci.or.jp/event/index.html
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■ 編集後記
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消費増税から早3ヵ月。イートインでも大きな混乱はないようで、静かな
滑り出しと言ったところでしょうか。キャッシュレスも活用されています
か。あと半年で還元事業の期間は終了します。が、予算案によると還元事
業の第2弾も計画されているようです。
スマホペイやクレジットカードなどの利用に費用や心配は要りません。
消費者としては使わないと損です。事業者としては・・・ ですが、今が
試して見るチャンスではありますよ。
それでは次回も楽しみにして下さい!
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発行者:特定非営利活動法人 NPOあつぎみらい21
編集長:石川征郎(NPOあつぎみらい21事務局長)
Website: http://www.atsugimirai21.org/
E-mail: mailmag@atsugimirai21.org
編集担当:橋向 博昭
E-mail: consulting@hashimukai.com
Website: http://www.atbridge-cnsltg.com
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