NPOあつぎみらい21の「かながわ Business Network」 2019年10月号 Vol.106

こんにちは、NPOあつぎみらい21「かながわ Business Network」
編集部です。
毎月1回、メールマガジンを通じて皆さまの経営に役立つ情報をお届けして
参りますので、どうぞ宜しくお付き合いください。
にわかラグビーファンが急増してます。かく言う私もその1人ですが、ルールが
イマイチわかりません。タックルした後、敵のボールを取りに行ける時とダメ
な時の区別を、どなたか教えていただけませんか?
では、今月の内容です。
1.<経営講座> ■ 【資金繰り表作成のお勧め】
2.<活動案内> ■ 【プロボノ事業「みらいプロジェクト」の活動】
3.<経営情報> ■ 【各種セミナー情報】
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1.<経営講座> ■  【資金繰り表作成のお勧め】
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▼なぜ資金繰り表作成をお勧めするか
事業経営においては、規模の大小を問わず、これからの資金の出入り予測を行う
ことは大切なことです。昨今、消費税増税や米中経済摩擦、日韓政治情勢など、
経済・政治環境の変化はじわじわと、その影を明らかにしつつあります。多くの
事業者の方々が、販売量や受注の減少を予測しています。実際にものづくり企業
において、取引先からの受注減少、取引単価引き下げ圧力に直面しているケース
は多いのです。本来真面目に事業を継続している事業者の方々であっても、今後、
更に大きな影響を受ける可能性を予測しておきたいものです。経営上の遅延や失
敗があるわけではないにもかかわらず、直近3ヶ月売上の前年度比較で10%減、
20%減という減少率を来たすこともあります。裾野の広い製造業の活力低下や、
個人消費マインドの低下も予想されます。
このような変化に、中小企業の事業者はどのように対応すればよいのでしょうか。
月次決算を行うこと、できるだけ自社で月次試算表を都度、作成することは自社
の管理水準を高めることに役立ちます。ところで本稿のテーマである資金繰り
が作成されるケースは、事業経営の現場では意外に少ないようです。そもそも、
資金繰り表は、確定申告書の資料ではなく、税務署への提出を求められていませ
ん。資金繰りは概ね、自分の頭の中に入っているから資金繰り表は要らない、と
いう経営者も中にはいます。が、不確実性の要因も多く、先行きを的確に見通し
辛い今、資金の出入りの事実に基づいて、事業の資金収支を目に見えるようにす
る資金繰り表は、経営のツールとしてその重要性はますます高まっています。
1.財務諸表と資金繰り表
財務諸表としての決算期の貸借対照表と損益計算書は、確定申告のために必須で、
どのような事業者でも作成します。一方、細かく経営管理や資金管理を行う事業
者は、上で述べた前月実績から月次決算書を作成しています。損益計算書は決
期間を通じた経営成績(収支)の既定事実を表します。貸借対照表は期末におけ
る事業の財務構成を示します。
財務諸表は過去の経営成績を明確に表してくれます。ただし、今後についての継
続的な情報、特に入金と出金の情報が得られるわけではないことには十分注意す
べきです。財務諸表決算期における過去実績です。決算期の財務諸表だけを見て
いては、事業として必要な資金に関する次の一手が浮かんでくるわけではありま
せん。損益計算書は、事業において販売と仕入の実績に基づいた事業の損益状況
を表します。これは財務諸表としてのキャッシュフロー計算書も同様に、販売と
仕入の実績に基づきます。キャッシュフロー計算書作成は、税引き後当期純利益
をベースに導き出すことが多く行われます。これさえも、決算期末における現預
金の残高状況を示すものです。
2.資金繰り表の事業活動での活用とメリット
日常の事業のやりくりでは、これから各自に起こる入金と出金の事実の把握とそ
の予測がやはり大事です。入金と出金の実績と今後の予測は、過去実績である損
益計算書から読み取ることはできません。
事業者の中には頭の中に自社の金庫状況がしっかりと入っていると言う方もいる
と思います。ただ、1ヶ月単位はほぼ可能でも、6ヶ月、1年といった長い期間
に亘るとなるといかがでしょうか。日常の多忙な中で、半年、1年先まで現預金
の出入りの予定をすべて頭の中で掴むことは現実的に難しいことです。そこが、
資金繰り表の作成をお勧めする理由です。いつでも目に見えるようにすることが
大事です。まさに記憶よりは記録です。なるべく、思い出すことや記憶すること
といった、時には不確実性も伴う作業から、頭脳を開放させたほうが好ましいと
いえます。
資金繰りに限っても、必要な資金の出入りに関する情報を、表であれ、データベ
ースであれ、形式の如何を問わずこまめに記録しておき、必要あれば迅速に検索
して参照できることが本来は望ましいのです。
3.資金繰りと利益はどう違か
 資金繰りとは事業活動に伴うお金の入りと出のやりくりを行うことです。事業
では毎月の人件費、光熱費など固定的に決まった時期に支払をしなければならな
い費用があります。一方、たとえばパン屋さんが使用するベーカリーの小麦粉な
ど原材料は、売上が増えれば使用量も増加します。変動費といっています。一般
的には原材料の仕入費用は、仕入れを行った翌月に支払する例が多いです。売上
を見れば、小売業では日銭が入ることが多いのですが、店頭客以外にまとまった
商いを特定の取引先に行うようになると、売上は売掛金となります。実際に手に
することができるのは、売上後、1~2ヶ月後ということも多いことになります。
つまり、完全な現金決済による売買以外では、費用が発生した、売り上げたとい
う事実が、即、現金の出、現金の入りと連動することは通常ありません。この売
り上げたという時期、支払うべき原材料を購入したという時期は、入金、支払の
時期とは、売掛、買掛が発生したとたんにズレを生じます。
 利益は、「売上高-費用」で定義されます。この利益額は事業に存在する現預
金の金額とは一致しません。損益計算書上で利益が発生している、あるいは損益
状態が良好であっても、入金と出金のタイミングが合わない状態になることもあ
ります。そのため場合によっては、支払いが期日までに間に合わない資金不足の
状態に陥ることもあり得ます。損益計算上、利益は多く生じているにも関わらず、
手元の現預金が少なく、支払にも困る状態「勘定合って銭足らず」は今更ながら
のことです。個人家計でも企業経営でも、真に重要なものが現預金(キャッシュ
)であることは、事実です。 
4.資金繰り表を作る目的
  月のお金の出・入りを明確に記録した資金繰り表を作成しない場合は、いく
ら資金の過不足が発生しているか、事業者には漠然としか見えてこない場合があ
ります。また、最悪の場合は、支払の直前になってお金の不足に気づき、あわて
ることにもなりかねません。特に創業に対しては、金融機関は有る程度のリスク
も想定しています。故にしっかりとした事業計画、資金計画がなければ、お金の
出し手である金融機関の協力を得ることも難しくなります。
  資金繰り表は、お金の必要が発生したときに、金融機関から要請されて急に
作ろうと思い立ってもできません。事業はお客様や仕入業者など、取引相手あっ
ての経営活動です。このことから資金繰り表を作成する目的は、①いつどの時点
で、具体的には何月に、②お金がどのくらい不足するのか、をはっきりとさせる
ことです。
 簡単な形式の資金繰り表で、中小企業から数百億円の売上の企業まで、資金管
理を心がける企業は使用しています。資金繰り表形式の細かさや精緻さではあり
ません。資金繰り表に落とし込んで、経営者の方々が思い描いている資金のやり
くりを「見える化」するだけです。最初は日次資金繰り表からスタートするとよ
いです。これは事業版の現預金出納帳となります。簡単な表で、この月では本当
はいくら資金が不足していたのか、資金に余裕があったのかが分かります。気軽
な気持ちで、始めることをお勧めします。効果抜群です。
5.資金繰り表作成、その他のメリット
  資金繰り表は金融機関にとって財務諸表と同様、非常に重要な書類です。事
業におけるお金の使い方が適正か、お金の回収に問題がないかを疎明し、訴求す
るための重要な資料です。日頃から長いお付き合いのある金融機関からの日常的
な運転資借り入れはいざ知らず、初めて取引する金融機関からの借入、お付き合
いのある金融機関であっても大きな設備投資資金の借り入れでは、資金繰り表の
提出を必ず要求されるといって間違いありません。残念ながら、決算書は資産勘
定の調整を通じて、正しくない利益の計上が可能になることがあります。例えば、
在庫金額や売掛金額の調整を通じて粉飾が可能になります。一方、資金の入金と
出金の事実のみに基づく資金繰り実績表は粉飾を行うことがが不可能です。
 資金収支の適正な実績記録と資金予測に基づき適正な資金管理を行うことで、
金融機関からの信用力を増すことができます。最初は簡単な基本形式で始めるこ
とを勧めます。
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 Writer:大嶋 碩郎(中小企業診断士)
     中小企業を応援します。
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2.<活動報告> ■プロボノ事業「みらいプロジェクト」の活動
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「みらいプロジェクト」は、経営の専門家や現役ビジネスパーソンが集まり、自
分たちの仕事のスキルや経験を活かして地域課題の解決を支援する「プロボノ」
活動です。NPOあつぎみらい21の自主事業の一つとして、次の3つのミッション
を掲げて活動しています。
Mission 1 県央地域にプロボノが活躍する場をつくる
Mission 2 地域のために活動する団体・個人を応援する
Mission 3 地域のソーシャルビジネスを応援する
 定期的な活動として、毎月「コミュニティ広場」を開催し無料で参加出来、学
んだり意見交換する場を提供しています。10月と11月の予定は以下の通りです。
■10月27日(日)「みらいコミュニティ」
    9:30~11:00 まなび場(予約不要)『コーチング勉強会』
   11:00~12:00 しゃべり場(予約不要)『フリートーキング』
   場所:厚木市保健福祉センター4階 作業室
     http://www.shakyo-atsugi-kanagawa.jp/access.htm
■11月17日(日)「みらいコミュニティ」
    9:30~11:00 まなび場(予約不要)『テーマ未定』
    11:00~12:00 しゃべり場(予約不要)
   場所:厚木市保健福祉センター4階 作業室
      http://www.shakyo-atsugi-kanagawa.jp/access.htm
  ご興味ある方は、お気軽においでください。
また、今年度は神奈川県主催の『プロボノチャレンジKANAGAWA 2019』の
運営団体として参画して、プロボノワーカーチームのサポートをしています。
厚木市からは、2つの障害者支援施設が被支援団体として参加しており、それ
ぞれの活動状況は以下のURLで見ることが出来ます。
■厚木つばきの会・つばき作業所:
https://www.servicegrant.or.jp/project/detail.php/?id=atsugi-tsubaki
プロジェクトは、作業場拡張資金を集めるクラウドファンディングのコンテン
ツ作り。
■厚木市障害者福祉事業所連絡会:
https://www.servicegrant.or.jp/project/detail.php/?id=shifukuren
プロジェクトは、事業所の自主製品や受注可能な作業を紹介するパンフレット
作り。
これからも「みらいプロジェクト」は、県央の地域活性化や課題解決のお手
伝いをして参ります。
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 Writer:東 新 (中小企業診断士)
 □みらいプロジェクト 県央地域のソーシャルビジネス支援を通じて
  プロボノや社会起業家など地域人材を育てる、あつぎみらい21の自主事業
  Website: http://atsugimirai21.org/miraipj/
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5.<経営情報> ■ 【各種セミナー情報 】
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▼ その他のセミナー・講演情報
厚木商工会議所 セミナー/イベントのお知らせ
 http://www.atsugicci.or.jp/category/seminar/
相模原市産業振興財団 セミナー/イベントのお知らせ
 http://www.ssz.or.jp/event
川崎市産業振興財団 セミナー/イベントのお知らせ
 http://www.kawasaki-net.ne.jp/seminar.html
横浜商工会議所 セミナー・講習会のご案内 
 http://www.yokohama-cci.or.jp/event/
川崎商工会議所 セミナー・講演会スケジュール
 http://www.kawasaki-cci.or.jp/event/index.html
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■ 編集後記
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実はいま、海外におります。海外からのメルマガ発行も慣れたものになりまし
たが、今回は、SIMフリーのスマホに海外SIMを挿しての利用です。日本で入
手したSIMはエストニアの番号が振られています。しかも、電話をするときは
イギリスの番号での発信になります。どうなっているのでしょう?
でもちゃんとインターネットにもつながります。
それでは次回も楽しみにして下さい!
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お寄せください。
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メンバも当然非公開としています。ご安心ください。
発行者:特定非営利活動法人 NPOあつぎみらい21
編集長:石川征郎(NPOあつぎみらい21事務局長)
Website: http://www.atsugimirai21.org/
E-mail: mailmag@atsugimirai21.org
編集担当:橋向 博昭
E-mail: consulting@hashimukai.com
Website: http://www.atbridge-cnsltg.com
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